先の見えない冒険へ


深澤孝史のプロジェクト『とくいの銀行』は、取手、山口、札幌という三会場において、全く別の様相を呈した。「とくいをあずけ、ひきだす」というシンプルな働きかけを基本構造とするこの作品を、担い手たちは各都市でどのように受容し、参与し、変容させてきたのだろうか。またアーティストやその協力者たちは、どのように各地の実施状況を予見、あるいは直面し、ローカライズを行っていたのだろうか。本論では三会場での実施状況の、とりわけプロジェクトの細部や個別的な事例について観察し、各地における作品受容について確認する。またこれを踏まえて、作品そのものの変容のプロセスについて考察する。